「てんとう虫」2002 12月号 特集 旅でめぐる忠臣蔵


内容は、特集のタイトルや”義士たちが生きた証を求めて”などの表現からも推察できますが、実に無邪気な忠臣蔵&義士礼賛です。
今時、ここまで問題意識のない特集を組む雑誌もあるのかと感心します。
しかもライターの方々、「忠臣蔵」と「史実」をごっちゃにしていらっしゃるご様子。というよりも、この二つが別なものであることをご存じないのではないかと思われます。
もしかしてこれが一般の方の認識なのでしょうか? だとすると非常に怖い気がします。

この義士礼賛調の文章のなかにも「時刻は寅の刻(午前4時)でした。(中略)彼らは鎖帷子で防備し、一人の敵に対して必ず2〜3人が協力して闘いました。寝入りを襲われた吉良方はひとたまりもありません」とあるのですが、この文章を書かれた方や義士を賛美する皆さん、忠臣蔵大好きな日本人のみなさん(私も日本人ですが)が何の疑問も感じないというのが、はっきり言って怖いです。 たとえ百歩譲って刃傷の原因が吉良様にあったとしても、自らが正義と思う事をする為に、このような押し込み強盗まがいのやり方で、罪もない人々(実際には吉良様にも罪なんてありませんが)をも殺害するのは、テロリストと変わりません。それどころか乱心した藩主の遺志を継いだだけなのだから、テロリストよりも性質が悪いと私は思うのですが。

「忠臣蔵にまつわる史跡や墓所」も紹介されていますが、予想通り愛知県で紹介されているのは「華蔵寺」のみ。
なるほど、吉良様の善政を偲ぶポイントは無視ですか。そうですよね、彼らが”義士”である為には”仇”は極悪非道でなければならないんですものね。
あれ?・・・ということは、編集部では、忠臣蔵と史実が別のものであると知らないんじゃなくて、知っていて知らない振りをしているという事ですか!? 
こうなるともう、何と言っていいのか・・・・・。おいたわしや、吉良様。












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